施設での暮らし半年目 幸福の想像
- 秋山妙子

- 4 時間前
- 読了時間: 4分
前書き:文章を書くのが好きなので、色々な場所に書き散らしているのですが、HPのブログはなるべく施術関係のことを載せるようにしていました。
一番なんでも載せるのはフェイスブックで、あの場所は従来の友達がいるため、個人的なことも沢山書いています。
最近、お客様も年を重ね、私も同じく、家族も同じく、という流れで、どうしても日常に、老いや死に関係する話が多くなってきました。
ここであまり自分の家族のことばかりを書くのもどうなのかな、と思っていたのですが、今年の1月末に父が施設に入り、父の衰える様子から考えさせられることがあまりにも多いので、こちらにも父の話を載せていこうと思います。 田舎で独居していた父は、緑内障を放置し目が不自由になってしまったため、今年の1月に施設に入居しました。
母の家から父の施設は徒歩10分なので、母は、ほぼ毎日、施設に通っている。
目に自信があって緑内障の目薬を無視していた父、今になって殆ど目が見えなくなってしまい、目の衰退とともに認知力もどんどん落ちているけど、施設に入ったことで、倒れた状態で発見される独居暮らしの心配は無くなった。
安心安全な世界の中で、食事の時間に呼ばれ、手を取られてゆっくり食堂に行く。
食事と、お風呂と、母が連れ出さない限りは、父は個室の外には出ない。部屋に父を訪ねてくる人は家族以外いないので、食事が終わると部屋に戻され、次の食事までただただベッドに座っている。たまにラジオがついている。情報の処理ができないそうで、野球もお相撲も、内容がわからないそうだ。私が英語の放送を聞いている感じなのかしら。
ずっと座っているのも疲れるので何となく横になる。週2回リハビリの先生を入れたけど、基本的に動かない。体が曲がって固くなって、仰向けで眠ることができなくなった。
好奇心旺盛だった父だったけど、「何かをしよう」という気力が無くなったのが大きい。新しいものを使えないので、「これを使ってみたら」「こうしたらこれができるよ」という提案ができなくなった。父は、ワンタッチ外線で母には明け方だろうが真夜中だろうが、電話をかける。母以外にはかけられない。母が出た時には電話をかけていたことを忘れていることもある。
空腹や眠気の波もなく、明るいのか暗いのかもわからないので、電話はいつも
「今は何時かね」
から始まり、
「じゃ私は次の食事まで、だた待っていればいいんだね」
で終わる。私はここで死ぬのを待っているだけだから、と言うようになった。
歩幅は3センチ、動作も緩慢なので電話に出るのがストレスになり、もう電話はしてこないで、と言われた。
手紙も読めず、電話もできないのに
「話す人がいない」
と言われると辛いなあ。父に気力さえあれば、まだまだ色々なことができるのに。

気力も食欲も無い人に栄養満点なご飯を与え続けるって、どうなんだろうか。
恵まれていて、良いことなんだろうか。
いかんいかん、どうしても良し悪しで考えてしまう。
でも、もっと良いやり方があるのではないか。
あっ、また「良い」だ。
「良い」って何か、と考えるに、それは父が満足気にしているという、私の世界の幻想みたいなことだったりする。
今回はできるだけ長く一緒にいようと思って、なにをするでもなく、父の部屋にいた。
午前中に車椅子を併用して一緒に散歩に出た。歩幅3センチでの外移動を終えて疲れた父は、お昼ご飯を少しだけ、やっと部屋で食べ終えると、すぐに横になった。

1時間ほどして、目をつむったままゆっくりゆっくり体を起こしたと思ったら、目をつむったままベッドに腰かけ、何を話しかけても答えなくなった。
これ以上話しかけるほうが疲れるかな、と思い
「お父さん、帰るね。また来るね」
と大きな声で言ったら、ゆっくり体を横にしながら
「よくきてくれた」
と言った。目は閉じたままだった。

時計を見たら14時だったけど、本当に今が何時なのか、わからないような時間の流れ方でした。
施設で音楽のイベントがあると、社交的な母は父を食堂に連れていく。
父は楽しめずに文句を言うので、母は結局父を部屋に連れて戻ってくる。
私も母も、楽しさや社交に重きを置いているので、勿体ないなと思ってしまうんだけど、父の満足は父にしかわからない。
結局現在の父の毎日は、今まで生きてきた父の集大成なのではないかと思ったりします。
一方の母は、めちゃめちゃ元気です!
が、今や、この手の話題が増えて、どの人のお話も本当に興味深いです。
皆様のお話もよろしかったら是非、聞かせてください。
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