夜の電車に乗っていたら、とても妙な声が乗って来た。
発熱した女の子が、寝起きに、ぼんやりした頭で、ぽつぽつおはなししてるような。
そんな夢見がちな様子。
を、作り込んだ声。
ちょっと裏声の入った、独白のような、かたりかけるようなテンポ。
「それでね、わたしは、そう、言ったの」
声の加工もすごいけど、語尾を伸ばさない点、ゆっくりさ加減、読点での間を置き方もなかなか。
あどけなさを徹底して作り込んでる。
甘くてソフト。マシュマロみたいだ。
誰だこりゃ、と振り返ったら、ガーリーでファンシーな服装をして、クルクルさせた大草原のローラみたいな色の髪、化粧かなり強めの、60代と思われる細い女性が、男性と腕を組んでいた。
こ、この人が!!
ビックリ。
こういう声を作る発想は、20代後半か30代前半だと思ってたので、かなり斬新だった。
おはなしの内容も
「このあいだ、いった、おはなやさんがね、」
と夢見がちだった。
私は声にとても興味があるので、目を瞑ってこの声について考えた。
彼女の声は、凄く甘くささやいて、ラジオで可愛い声の女の子がちょっとだけエコーをかけて、ゆっくり話す感じに似てる。(昭和)
この声に何を語らせたら一番しっくりくるかな。
「わたしは、うさぎの、こ」
が一番しっくり。
うさぎの名前は、その時ドンピシャなのを思いついたけど、忘れてしまった。
でも本物のこどもは、あんな声は出さないし、あんな話し方もしない。
不自然な声というのがある。
裏に本当の地声があることがはっきり感じられる、加工されたり、抑揚やリズムを調節されすぎた、作り込まれた声だ。
彼女の声はキャラとして完成してたけど、やっぱり電車で何人もが手を止めて出どころを探してしまうほど不自然で、
この声も、癖になったりトリコになったりする人がいるんだろうか、
と考えながら降りました。
彼女は何才からあの声にたどり着いたのだろう。
私も声が若いと言われるけど、自分ではこの声に反射的な加工を感じる。
常に本当の声を探しています。皆さんの声はどうですか?
ゆっくりと、五月へ。
良い日を。
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