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執筆者の写真秋山妙子

「閉じ込めていた感情」ー光の雨


押さえ込んでいた感情を出す様子を目の当たりにして感じたことを書きました。

書き終わった後、お客様に文章を見せて、またお話しました。

彼女には彼女の物語があって、それは誰かと分かち合えるようでいて、実は誰も彼女を知ることは出来ない。

「わかります」と言っても、それは厳密に言えば「あなたが今そう言っているという事実がわかる」のであって、

「あなたの気持ちが本当にわかる」訳では無くて、

だから皆、ちょいちょい的外れな同意を返してくるんです。

自分のことは、自分が咀嚼していき、自分が理解していく。

悲しみに向き合うってそういう作業なんだと思いました。

今日も、良い日に!

「悲しみと手」について書いたら、ご家族を亡くされた方の予約が連続で入りました。

そのうちのお1人の出来事です。

ご本人の許可を経て投稿しています。

彼女は「光の雨」というトリートメントを受けながら、笑いながら明るく、とても早口にお話され、

「私、何をこんなに笑って話してるのかしら」

と何度もおっしゃっていましたが、

仰向けになって暫くすると話の様子が変調し、ある山場に来たとき、彼女の顔が歪み出して、言葉に詰まり始めました。

強い力で出て来ようする感情と、それを絶対出さないように必死で押さえつける思考。

膜を破る力と、新たな膜を高速で作り出す作業とが、反射に近い速度で打ち続けられているのが伝わってきました。

反応を見守りながら施術を続けていると、ついに抑えつける体力を押し切った感情が勝って、

彼女は膜を破ったように一番言えなかったことを発声しながら、顔を覆って体を震わせて泣いた。

私は、彼女から飛び出した血だらけの胎児を両手で受け取ったという強い印象を受けました。

奥にしまわれた感情は、厳密な理由があって隠されていて、

それをあきらかにしていくことは、その方の一番恐れているものに向かっていく、大変な作業なんです。どこかで、血が出ているんだと思います。

胎児だったから完全な形では無かったし、出てきた子と手をとって何かを分かち合ったり統合したりする、という感じではなかった。

そんな施術の時間も、あるのです。

非常に胸を打たれた施術でした。

役に立てたのだろうか、と考えながら帰りましたが、

施術は、結論を出すものじゃ無くて、その方の時間の先を少し柔らかくする作用。そんな気がしました。

この絵はRieko Moritaさん。

今日も良い日に。


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