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執筆者の写真秋山妙子

「同じ物語を持って」


日曜の湯河原のイベントに、元同僚が赤ちゃんと旦那さんを連れて、わざわざ来てくれたんです。

彼女と働いたのは3年以上前の、1年半という短い間。そのサロンが閉店することになってしまったから。

彼女と、店長・衣子さんと、私の三人で、通常業務と回数券の消化とクーポンのお客様をこなし、毎日夜遅くまで残務処理をしました。

サービス業にありがちな、いわゆるお客様重視のサービス根性論的業務形態に見切りをつけるスタッフもいて、

続けるのと、辞めるのと、どちらが正しいとも言えなかったけど、現実として仕事量がさらに増え、

体力的にも精神的にも、腐るか、やり抜くか、本当にギリギリでした。

ただ私達に共通していたのは、最後までここを気持ち良い場のまま閉店させたい、お客様にとっても、自分達にとっても、良い記憶にしたかったんです。

そんなお綺麗な感情にひっかかるような連中が、聡明な人達にまんまと利用し尽くされるのかも知れない。

でもまあ、私達はお互いが好きだったし、お互いの力になりたかった。

そんなわけで、閉店までの1ヶ月は殆ど文化祭並みの熱を帯び、離れがたくなった私達は最後の夜に銀座のホテルを予約して、三人で泊まりました。

その頃にはもう体力も限界でしたけど、限界を振り切ったナチュラルハイ状態で3つ並べたベッドに寝そべって施術しあったり、お喋りしたり。

やがて力尽きて泥のように眠りました。

そんな思い出があります。

だから、どんなに久しぶりに彼女に会っても、明日になれば一緒に働くような気がして、

のんきにしちゃって。明日のお客様のカルテ、ちゃんと出してる?

と言いたい。

店長衣子さんにも、物販では力になれず、すみません、と言いたい、今になっても。

そしてやっぱり二人には、なんとかいつまでも、自分のちゃんとしたところを見ていて欲しい、と思います。

そんな友達が来てくれて、嬉しかったおはなしでした。

共有する物語を持つと、いつ会っても普通に話の続きが出来る。

あの時、私達はお人好しすぎるんじゃないかって疑問がいつも身体の底を流れていた。

でも今になると本当に思う、あの時頑張って良かった。

19時半から、本日ラストのお客様です。

今日も、良かった。

また、明日。


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