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あるお客様のお話(教育について)


(ご本人の了解を経て掲載しています)

あるお客様が遠方に移住することになり、

飛行機に乗る日の午前中、文字通りお忙しい中、最後のトリートメントに来てくださいました。

その方は教育関係に携わり、思春期の生徒たちに接している方で、仮に鳩岡さんとしましょう。

鳩岡さんはいつも子供たちに特殊な問題を投げかける授業に取り組んでいる方。

イスラム教の施設に行き、その生活を聞きにいったり、

性同一障害の方をお招きして、お話を聞いたり、

感染はしないけれども、見た目が変化してしまう病気に罹患されている方のお話を聞いたり。

子供たちは、それぞれにぼんやり、または強く持っていた先入観をたたえて彼らに出会い、

彼らも一人の、所謂(いわゆる)一般の人と同じように、毎日をよりよく生きたいと願いながら行動を重ねている市民なのだ、ということを知り、

そこで大きく自分の解釈に疑問が、大人からの教えや思い込みや、見た目や違和感のフィルターに対しての疑問が生じるのですが、

この疑問の着地点に関して、鳩岡さんは何も誘導しない。

「不幸な人たちなのよ」

「私たちに何ができるでしょうか」

「甘えている」

「そういう国の人だから」

「過激な人たちだ」

「同じ人間なのよ」

「分かり合えない」

生徒たちは、消化できない問いだけをお腹に入れたまま、帰っていく。

私は鳩岡さんのお話を聞くのが好きで、最後にゆっくりカルテを見返してみましたら、何度も「素晴らしい企画!!」「(私も)聞きたい」と書き込んでありました。

秋山さんを授業にご招待したい、と言ってくださり、密かに楽しみにしていましたが、

案の定、引越し・引き継ぎ・年度末の3大波。

でも、いらっしゃる度にお話を伺えただけで、深く、私の糧になりました。

一人の大人として、経験の少ない子供にどう向き合っていくか、私はよくそれを考えます。

たまにとても頭の回転の良い、優秀な20代の方とお話ししながら、

「この人はこんなに頭が良いのに、この辺りは意外と未熟なのね」

と思うことがあります。

当たり前です、人生経験が少ないからです。

私がまだ介護の実態を知らないように、

そして、人との会話も男女交際もセックスも結婚も育児も仕事も病気も外国生活も死に別れも、

つまり人生の全てが、実際に経験してみないとわからないからです。

そんな中で自分の経験をなるべくまっすぐに、フラットに、人に話せる大人になりたいと思っています。

「そんな考えじゃうまくいかない」 「世間はそう甘くない」 「皆に嫌われて不幸になる」

そういった得体の知れないフィルターを子供から取り除いて、彼らの頭と身体で経験させていく、そういう大人を目指しています。

鳩岡さんが子供達に置いていったお土産はいつまでも人生のどこかしらに妙な重さを感じさせる筈で、私もそういう先生に会ってみたかった。

そんな私に、ご本人の自覚無く色々なことを教えてくださった鳩岡さん、

遠い地でも是非是非、ご活躍してくださいーーー!!涙

ではでは、今日も(、明日も、)良い日に。


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