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執筆者の写真秋山妙子

お手紙から


かなり遠くにお住まいのお客様から、サロンに封筒が届きました。

お菓子と、その方の生活に関係する冊子と、お香の小さい包みが同封された長い長いお手紙。

この方とは何度も封書をやり取りしています。

私のサロンにいらっしゃる女性はそれぞれに生い立ちや家庭環境に大なり小なり問題を抱えている方が多いのですが、

その方は普通の方が苦しむトラウマや心の傷を絶するような困難な生い立ちや人生を経て、

故郷その他を遠く離れて、ただただ木を刻むように歯を食いしばりながら、心の平穏を確立しようと日々研鑽している方です。

フェイスブックでまわってきた投稿にいいね!を押したことから知り合ったご縁ですが、東京にいらっしゃると、予約をしてくださる。不思議なものです。

本当は身体を整えるとか筋肉をほぐすとか、そういうことよりも大切なことがあって、

それはなんというか、その方が現在に目を向けて生活できて、

さらに言うなら目の前の風景を美しく感じる感性を取り戻すことです。

私も長い間、色の無いような世界に生きてきて、

色のある世界の美しさを感じることができることに、涙がでるほどの幸福感を味わうことができる本日を、夢のように振り返ることがあります。

逃げられるくらい器用なら、それはひとつの特技。

人生には逃げられないこともあって、

ただただそれと組み打ちながら生きなくてはいけない人もいます。

今目の前にある何かを美しく感じられれば、

それが手紙でも人の心でも音楽でも、それだけで希望が持てる。

長い時間をかけてそんな手紙を書いてくださる方がいらして、私もまた幸福です。

ではでは、明日も良い日に。

(この絵はHans Adolf Buhler)


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