六本木の森美術館は金曜の夜10時まで展示が見られるという太っ腹な美術館なのです。
レアンドロ・エルリッヒ。
この人の有名作は金沢美術館にあるプール。
行こうかなーと思ってたところに面白い企画が流れてきました。
ヨリミチミュージアム。
学芸員を芯にして知らない人同士で鑑賞し、後で共有するというもの。
応募してみたら抽選で当たった。
私のチームはチェコ語を話す指導員さんを芯に、現代美術作品の購入もしている美術好きの会社員さん、建築関係の女性、そしてスウェディッシュマッサージ屋(←私)の4人。
自分の感じたことを後で共有するとなると、アンテナの立ち方が変わり、いつもの受容器が少し硬い感じになる。(感情が遠くにやられて、水彩画がモザイク絵に加工されていく感じ)
美術作品から感じたことを話すのはちょっと勇気が要る。
皆で同じ作品を見ても、見ている場所もひっかかる点も、五感の使い方も違う。
焦点の習慣や思い込みも露見する。
他のメンバーもフランス語講師、人形作家、薬学の院生などなど、専門分野のエッジが立っていて知的だった。(そして知的な人というのは、だいたいにおいて素敵な見た目なのだった)
なのに皆、眼筋を解放しながら黒目がかっちりしていて、とても人懐こい目つき。懐が広く優しかった。声も静かで、そこも素敵だった。
話の内容をここにいくらでも記載できるけど完全なネタバレになってしまうので、やめましょう。
理数脳の人と一緒に回れたのは面白かった。
全体に言えることは、この作家さんは伝えたいことだけを伝えるために、非常に緻密な現場検証をしていることで、
例えば「サイコロ」のイメージを伝えたいとき、
感情や背景を抜いた「ほぼ同じサイズと質感のサイコロ」だけを100人の記憶から同時に呼び起こすのは実はとても難しいことで、
そこにゆきつくまでの付加、削ぎ落とし、拡大、デフォルメなどの試行錯誤を感じて、興奮しました。
この展示はふらふらと鑑賞したらば、間違い無く、
面白いねー!面白いねー!
で終わっていたけど、
今回はヨリミチミュージアムに参加出来て良かった。
(余韻)
(余韻を味わいながら)
皆様もよい日を!

