• 秋山妙子

「浜田山に吹く琥珀の風」蓮沼執太フィル


元夫がインフルンザに罹患し、

「僕の音楽友達と行く予定だったんだけど、一緒に行けば?」

とチケットをくれたので、聞いたことも無い人のライブに、初めて会う人と行って来ました。(元夫の音楽センスには絶大な信頼があるので、安心)

という訳で、やぎさん、初めまして。

蓮沼執太フィル「東京ジャクスタ」

・・・なんぞ?

待ち合わせ前に動画で見てみました。いやー、軽いなー。

(好きじゃないタイプの音楽)

一曲始まったとき、ちょっと下手すぎて仰天しました。

音が合って無いから、気持ち悪い。

全員75点くらいに仕上がったような雑味感が凄い。

名古屋かどこかの、色だけ派手で安物のオモチャがどっさり下がってる玩具屋に放り込まれた感じ。セルロイド感。

ぎっちり目を瞑って眉間にしわを寄せたままの私の様子を見て、隣のやぎさんはハラハラだったようです。(集中していたのも、ある)

休憩時間に、やぎさんが、恐る恐る、やがて自由に、彼の言葉で解説してくれた。

新しい分野と出会った激しい異物感に、理解の深い人の丁寧な解説が入ると、その世界の耐性というか、新しい表現に対する言語が出来て、受け取め方が断然変わる。

なるほど、なるほど、なるほど。

後半になって彼らの本領が発揮されて来ると、雑味が細かく細かく撹拌されて、

平成30年の、東京の、井の頭線辺りの。

凄まじい情報の中に居ながらスマートに五感を開いて、自分の目でものを見ようとする新しい平和の形。

一人でも、君と僕だけでもない、

「こうであるべき」感を誰も持たない、出入り自由の明るいコミュニティの調和が優しく皆に開かれていた。

そこに琥珀色の風が吹く様子が映像に見えたとき、「琥珀の風」という歌詞が耳を流れて、

(見える、映像がはっきり見える)

と興奮しました。

小洒落たポップスには無い、細かい細かい生活の雑味。

厚く体積されながら超高速で流れる情報の中で、

水、食事、服、駅前の道、窓からの景色、空、緑、光。

美しい暮らしに、毎日が開かれる。

そんな新しい風景でした。

私も吸い寄せられました。そこに行きたい。

物凄く良かった。

珍しく会場でCDを買って、やぎさんと一緒に餃子を食べると、

やぎさんは満足気に高速バスで帰りました。

また新しい世界を知った。

良かった良かった。

新しい人は、実はずっと進化している。理解出来ない人には、退化にしか見えないけれど。

そんな世界でした。

食わず嫌いはいけないな、音楽の力は凄い。

また明日も、頑張りましょう。

おやすみなさい。


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