• 秋山妙子

「飛び立つ鳥」


本日。ケルン放送交響楽団の首席として活躍されているヴィオラ奏者の村上 淳一郎さんを中心に構成された演奏会に行ってきました。

昨日書いた私の文章がパンフレットに載っておりました。(嬉し恥ずかし)

演奏が始まった。

村上さんのヴィオラは、水が持つルール「低いところに向かって流れる」ように、体のどこか・決められた場所にたどり着いて共鳴を開始し、

素晴らしい倍音の泉から生命の水のような音を浴びながら、思った。

自分の体、全然開いてないな。

肋骨を一本一本開帳するように開いてみたけど、あの音に対して胸を開くのは怖かった。

腕を組んだり顔を手で覆ったり、鞄を抱えて聴くほうが落ち着いたので、結局その姿勢で聴き、帰りに友達に聞いてみた。

体を閉じて聴くのって、いかがなものか。

「体は閉じてるかも知れないけど、感覚が開いているなら良いんじゃないの」

と言われました。いいのかな。

今日の音楽は胸腺に一番届いた。胸腺で聴きました。

途中から額も開きました。動物が空気の香りを嗅ぎわけるように、額でも聴けました。

プログラムには生徒さんも一緒に演奏する三重奏が2曲あった。

昨日リハーサルを見ていたので、すっかり親心。

昨日とは比較にならない生徒さんの音に、姿勢に、音楽に、ため息。

主催者の明るい愛を感じる本当に良い企画だ。だから私は本郷さんが大好きなのです。

村上さんのアンコールが2回あり、弾き終わった最後。

村上さんが一言挨拶するかと思うや観客に向かって、

「あの、僕からみなさんにひとつ質問が・・・・子供たちの演奏を、もう一度ここでやってもいいかな」

と提案したため、最後にもう一度、生徒さんを加えた2つのトリオが同じ曲を演奏したのです。

内臓が燃えさかる鉄のように体内を縦に貫く村上さんの馬力。

生徒さんの音は一層透明度と躍動と軽さを増し、

喜びを帯びて世界に向かって放たれ、ここで弾いている幸福の振るえが眩しいほどに伝わってきて、

高いところに止まっていた若い鳥が、次々飛び立つ様子を見るようでした。

昨日も泣けましたが、今日は倍泣けた。感動で泣けるってのは、目が良くなるような気がします。

願わくば。

生徒さん達が今日のような体験を、これから何度も重ねられることを。

ああ、良かった。良かった。良かった。

今回の企画は、色々な方に向けて個人的に宣伝しました。

足を運んでくださった方、どうもありがとう。同じ思いを共有できたら嬉しいです。

幸福の共有。(良かった)

おやすみなさい。