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執筆者の写真秋山妙子

「落下」


茨城県の竜神大吊橋に100メートルの高さを誇る日本一のバンジージャンプに行ってきました。

いろいろな人から「自分の意思で飛び降りる恐怖感」の話を聞きましたが、結論から言うと新緑の今日、風景が美しく風が気持ち良いからか、恐怖は全く感じず、ダムの水面を渡り空を走る風は格別で、いつまでもここにいたいという気持ちになりました。

車中4人で、どんなフォームで飛ぶのかを話し合いました。私はアフリカの儀式のようにただ直立した身体の重心を前に傾けて落下したいと考えていましたが、係の人から

「前方に向かってできるだけ遠くに飛び出してください」

と言われました。

バウンドや回転など、落下後の動きに関係するそうです。

他に体重別に装着器具が違ったり、指導から掛け声から、彼らのテキパキした「ためらう気持ちの隙を与えない」誘導は見事に体系化されていて完璧、

つり橋の上に立って「もう少しつま先前に出して」と言われ、深呼吸を促されて掛け声と共に欄干を蹴りました。

蹴りだした瞬間驚いたのが、空中で良い姿勢を維持することのむつかしさです。

どこにも捕まるところのない空間の不確かさに体が驚く間も無く、前に飛び込んだ力が消失すると直ちに体は落下を始めました。

その放物線の瞬間、一瞬だけ「どうなるんだろう、失神するかも」と感じました。

でももう落ちる以外に手段がありません。すぐ体が何かの法則に従い、なるようになるしかないという脱力に変わりました。

今思うと、抗えない巨大な力に身を任せるしかない感じは出産に似ています。

同時に両耳に空気を切り裂く音が強風のように聞こえ、目の前には水面がぐんぐん迫りました。

落下が止まり、私はダムの水と橋の間に宙吊りになりました。上から合図が入ったので足の紐を引き抜き頭を上にし、揺られました。

転地左右・360度見晴らしの良い空中から眺める5月の山々の緑ほとんど桃源郷のようで、特別に静かな時間でした。

引き上げられて欄干に戻り、靴を履き替えるときに手が震えました。

その後も異様にお腹がすいたり、眠気が来たり。

体はとても驚き、疲れているのだろうと思いました。

多分脳内からもいろいろな物質が出ていたと思います。

思い出すとちょっと不思議な感覚になります。

また行きたいし、いろんな所から飛んでみたいと思ってしまいました。

朝10時に飛んでから解散まで、一緒に行った3人で何度も何度も飛んだときの感覚を確かめ合いました。

皆様も是非是非。

おやすみなさい。


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