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友達の死

執筆者の写真: 秋山妙子秋山妙子

仲間がいきなり死んでしまった。ショックだったけど、今まで見て来た彼の行動を繋ぎ合わせ、あっちの世界ではこうしてるだろう、こう言っているだろうと、なるべく楽しい想像をしてきた。

急に死なれても困ると思ったのもあったし、第一には、私の知っている彼から想像するに、ぐちぐちと悲しんで欲しくないのではないか、と考えたからだ。

あのさあ、そんなにいつまでも、暗くしないでよ

そう言ってるに違いないと思いながらも、会う人会う人に彼の話をした。

そして今日、別の友達に、あなたの言ってることはなんだか変だよ、言ってることがおかしいよ、と指摘を受けた。

私の気持ちは私の自由だし、正直放っておいて欲しいと思ったけど、

彼女は信頼出来る人だし、私の行動発言に関しては人の言うことがだいたい正しい。

この件で他の人が不快になってもいけないので、何が変なのか二人で会話を進めていった。

ある壁に突き当たり、私は彼の死に対して怒りを隠しているのだと結論づけた。

なぜなら彼のような人があっさり死んでハイおしまいというのは、なんというか、真面目に生きている意味が無いみたいだし、誰でも急に死ぬってことがあるって頭ではわかっているけれど、神様、それは無いでしょうよ。

そしたら友達が、怒るのと違うでしょ、そういう受け入れ難いことを受け入れなくてはならないことも含めて、悲しいって言うんじゃないの。

と、はっきり言った。

その一言に胸が引きしぼられ、何かが引きちぎられてその場で泣いてしまった。

会えないとか、笑って見送りたいとか、どうして彼がとか、挨拶できなかったとか、色々言いたかったこととか。

いくら隠しても、そういうことだ。

そこまで達観できなかった。

悲しかったし、今も悲しい。

それがわかって、清々した。

でもやっぱりその人は、湿っぽいことを嫌いそうな気がする。

表向きは。しっかりしていよう。

また、明日。


 
 
 
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