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執筆者の写真秋山妙子

数珠のような音のつながり マイケル・ナイマン ピアノレッスン


本日の一曲。

色々な人が弾いている、この曲ですが。

大人が変な抑揚つけて陶酔しながら弾いてると興ざめしてしまい、「演歌にしてどうする」って思ってしまう。

この奏者の作品が一番良かった。

ピアノの音は基本的にあまり好きではないけど、これは良かった。

一つの音の向こうに次の音が立ち上がる、音の連鎖が。

今日電車で、青みがかるくらいの見事な漆黒の肌を持った黒人が、多分90センチはあるだろう長い長い数珠を親指の爪でひとつずつ送りながら、ずっと何かを唱えていた。

数珠じゃなくて、ロザリオじゃなくて。

何の宗教の何だろう。

しばらく調べてみたけど、わからなかった。

何語の、何の為のお祈りなんだろう。小さくて聞き取れない。

木の実の珠を親指で送る度、算盤珠と同じような、硬い音がした。

降りる段になると、彼はそれを2回折りたたんで自分の顔を縦にさっと擦ってから、鞄のサイドポケットに投げ入れて電車を降りていった。

次々と繋がりながら、永遠を感じさせるように、私の胸に規則正しく真っ直ぐ入ってくる。

この奏者のピアノを聞いて、今日の印象深い一連の繋がりがなみなみと立ち上がったところで、眠ります。

おやすみなさい。


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