たまに、特にこりの強い方に多いのですが、トリートメント中、ずっと細かく細かく、常に全身が動いている方がいます。
眼球はまぶたの下でそれはそれは細かく動き、眼をつむりながらなおマタタキをするようにまつげを動かし、タオルを握ったり、腕の位置を変えたり、足の位置を変えたり。
仰向けの最後までそんな様子だと、流石に何か我慢していることがあるのではないか、と心配になってきます。
そういうときは、心でいくら考えても仕方がないので、思い切って聞いてしまいます。
「何か、気になることがございますか?」
そこで今まで返ってきた答えが全てこのような返答。
「大丈夫です、とても気持ちがいいわ」
これを重ねるうちに、細かく動くタイプの方に、度胸がつきました。
のはずなのですが、先日久々に、あまりに全身を細かく動かす方の施術をしながら、またまた不安になってきてしまいました。
そういう方はだいたい、大抵の方がぐーっと深く落ち着くところや、ここが気持ちいいのよー!!という、リラックスのつぼというか、「ため」のような場所で、最も動き出すのです。
思い切って、お声掛けしたら、やっぱり
「大丈夫です、ひとつひとつツボに入って、とっても気持ちいいわ」
と仰る。
じーっと観察してみると、彼女の中の何かが、体の力を抜くことに対して非常に抵抗している感じがします。
力を抜いちゃいけない!!
それは意識下で行われている、深く、根源的な抵抗で、本人の意識では「充分に力を抜いてリラックスしている」のです。
力を抜いたら、人に体をゆだねたら。
(死んでしまうかも)
そんな細い糸のような神経のような芯が、必死に抵抗しています。
それが良いとか悪いとか、わかりませんが、多分それが無いほうがきっと軽やかで自由なのでしょうけれども、それがその方の芯なのだな、と思いながら、施術しています。
ウトウトと、朦朧とした中で、芯が何度も彼女を呼び起こし、
寝ちゃいけない、力を抜いたらいけない、と彼女の意識を必死に引っ張ります。
いつか首や後頭骨の施術の最中に眠ってくれたら素晴らしいな、と思いながら施術をしています。