• 秋山妙子

生きる:ミュージカル

私の父の良いところの一つに、 「子供に良いものを与えたい」 というのがあるのですが、今回父が新聞の広告を見たときにそれが発動し、私に連絡が来ました。 「黒澤明の「生きる」がミュージカルになっているんだけど、子供たちは観たら良いんじゃないかね」 (父言語訳・全員観るように) 「わかった」 「孫も全然観ると良いね、とくに大学生の二人は、観ておかないと」 「全員に伝えときます」 とりあえず、LINEの秋山4姉弟グループに送信しとこうかな、と思った時、父が言った。 「チケット代は、お父さんが補助してもいいからね」 パピーン!(やる気の音) 子供には早いだの、ミュージカルにしては暗いだの、色々心配する母を振り切って家族LINEに一斉送信すると、各家族、速やかにチケットの予約が開始されました。 予約の取り方にも性格が出る。 弟①は5歳の子まで一緒に連れて行き、弟②はライオンキングに変更の交渉をして成功。 関西の息子は関西公演に滑り込みセーフ。 主演は市村正規と加賀丈史のダブルキャスト。 おお、劇団四季のゴールデンコンビ。



主役の枯れ感、静かな葛藤なら加賀さんの方を観たいな。 千秋楽の加賀さん主演のチケットを取った。 で、昨日、観て来ました。 宮本亜門の演出はとてもブロードウェイっぽかった。あのシーンはどうなるんだろうか、というシーンが見事に舞台に転換されていた。 清原みたいにギラついた市役所の助役が良かった。

映画の中の助役は「役所の上司」といった細ーい役者さんだったのに対し、

ミュージカルの助役は悪役が水を得た魚のように決まって、ギラギラしてました。

息子の嫁と「とよ」役の個性が似て見えるな、と思ったら、ダブルキャストだった。 喫茶店でのシーンはもう少し動きがあったほうが良かった。 渡辺の覚醒とハッピーバースデーの歌がシンクロするシーンは一番好きなシーンなのです。

「働いて。食べて。それだけよ」 という台詞も好き。原点。 ミュージカルでは公園を作りつつ体調が悪化し、役所の机で「生きたい」という加賀さんのソロ熱唱の後、すぐ葬式のシーンになった。 葬式後の回想シーンから、最後の名場面、雪の公園のブランコに乗った渡辺が「命短し恋せよ乙女」を歌う場面が出てきたけど、 「夜と言えば青」「感動といえば銀の紙吹雪」の組み合わせ、そして銀の紙吹雪の量が景気良すぎて、紅白歌合戦のエンディングのようなお約束的、「ハイッ!最後にとっておいたクライマックス、ドーン!!」みたいな展開に、ちょっと興醒めしてしまった。 あちこちからすすり泣きの音がして、私も消音モードでドードー泣きました。 加賀さんは枯れ果てた上に消極的な主人公の葛藤をぎりぎり観客まで届くくらいの絶妙な加減で演じ、 彼の普段のゴージャスなオーラをどれだけ細めているのか、最後まで落ち着いた役柄の裏に渦巻く力量を精一杯消し去って、凄かった。 最後のカーテンコールで加賀さんが、 「5月の発足時から、こんな状況下で上演できるのかという中でやってきました。私はこの10月の舞台は一生忘れません」 と言った。そんな舞台に立ち会えて幸せでした。 つづき チケット入手の調整をしているとき、 「全員の感想を集めて額に入れるのはどうかね」 と電話してきた父が言い出した。 「感想の手紙じゃだめなの?」 と言ったら 「額に入れるのはどうかね」 と言う。 わかりました!やりますー!! 全員に 「観劇後、全員から手書きの感想を集め、額装してお父さんに渡しますので、そのつもりで観るように」 と通達しました。 先に観た妹は 「踊ってた人がスーツだったから、ちょっと暗くて地味だったー」 と言っていたけど、その感想で大丈夫でしょうか?? 観劇後、物凄く眠くなって、頭の芯がぼんやりした。 たくさん泣いたし、生きた人間が全員渾身のパフォーマンスをするのをあんなに長く観たら、そりゃ脳も疲れるよな。 ゆっくり眠りました。 次の日の朝父に電話をしてお礼を言って感想を話し合いました。 父の感想。 「役所をたらい回しにされるシーンが目まぐるしく派手すぎるのではないかと思ったが宮本亜門亜門はブロードウェイ仕込みだから仕方ない」 本当は加賀さんのを観たかったそうですがお母さんが市村さんファンで市村バージョンに即決だったそうです。 父の芸術的趣味は、なかなかかっこ良い。 私もこんな提案ができるババになりましょう!


という訳で、続きはサロンで。サロンでお会いしましょうー!

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